夢-故郷

↓こんな感じの夢の話をするだけです

 

とても懐かしくて苦しい夢を見た。

最近毎日昼寝をしていて20分で起きるようにしている。20分くらい寝ると深い睡眠に入らずに済みかつ日中の眠気が取れるので丁度いい。今日もそうしようとしたが前日までの疲れがあったのか20分過ぎてアラームを止めた時には既に眠気にズブズブで次の瞬間には帰宅していた。帰宅していたがドアを開けた先は本来あるはずの東京の住処ではなく白黒の実家だった。グレーなんてものが存在しない文字通りの白黒で、太い筆で描いたみたいに机や壁だけが滲んだ線と面だけで抽象化されて目の前に存在していた。いつの間にか東京の家がどんなものだったかが思い出せなくなっていた。右前と左前2箇所に2つの部屋があって扉が開いているのが見えた。僕は部屋に入っていったが視点がそこから動かなかったので動き回っている自分を見つめていた。しゃがむことも物を調べることもできず机の周りをぐるぐる回っていて3Dのゲームをしているような気分だった。でもその時はゲームというものには思い至らなかったので不自由だなあと思っていた。不意に今この家には父も母もいないと気がついて寂しく思った。

映画を見ていた。映画館ではなくでかい大学の講義室みたいなところだったが*1、最前面には何かしらの映像が映し出されていた。怪獣を倒す話だったような気がする。後ろ半分の最前列で映画を見ていて、休憩が始まったら前半分と後ろ半分の真ん中の踊り場みたいなところで物販が始まったが、その時には後ろ半分の真ん中あたりの席にいた。横には旧友の山田がいたような気がする。山田の後についてやけに急になった上に長くなった階段を100段くらい降りると物販ではパスタサンドと手作りプリッツを売っていた。パスタサンドを食べると何の変哲もないところから突然極細パスタを揚げたものの束(茹でる前のそうめんにそっくりだった)みたいなのがいくつも出てきて不快だった。手作りプリッツを買わなかったので山田に「買わないの?」と言われたが、「まあプリッツだからね」と答えた。

劇場みたいなところにいた。そんなに広くなく、僕は部屋の隅にいたので全体が見えた。僕の居る隅の対角が舞台みたいな低い場所で、そこから広がるように客席が段々になって広がっていた。なので僕のいる場所は一番高い場所だった。舞台にはさっきの映画で見たかもしれないでかいタコみたいな怪物がいた。特に暴れるでもなく大人しくするでもなく、生物然としてうねうね動いているだけだった。最前列に居る大人たちは触手に薙がれながら携帯がどうとか騒いでいた。時間の経過とともにそのタコは大きくなっていったのでいつのまにか目の前にいた。触手が蠢き時折僕を撫でていった。間近で見るとグロテスクだし生臭いのであまりいい気分はしないなと思った。

いつの間にか白いエプロンを着けた???が僕を慌てた様子で部屋から連れ出していた。ドアがないと思っていたが背面にドアがあったらしく、ドアを出たら小学校の廊下だった。???は背が高いし僕は見上げる気がなかったから白いエプロンしか見えなかったし声も女性であることしかわからなかったが、恐らく僕は小学生で???は先生的な何かだったのだろうと思う。服が汚れたので着替えろと言われたので更衣室に一緒に向かっているようだったが、今日は入園式なので玄関に大量の幼稚園児とその親がたむろしていた。???は玄関の向こうに僕を押しやったので幼稚園の男子更衣室に入った。中には僕と同じくらいの男子1人と、上級生のように見える女子2人がいた。女子はこっちを見て笑いながら服を脱ぎ始めたので僕はいけないと思ってそちら側に背を向けたが、何がいけないのかはよくわからなかった。どうやら部屋の扉や窓が開いているようなので苦労して全部閉めるともう夕方で部屋には誰もいなかった。夕日が差し込む明かりのついていない部屋を見渡すと、安いプレハブの中みたいな場所で、ザラ板に布をひいただけみたいな床で、お外あそびについて書いてある紙が貼ってある壁で、意味が全くわからないけど懐かしい感じがした。安いタオルみたいな布を踏みしめながら、自分はここから来たのだと思った。

懐かしさに襲われたところで不意に今の自分は何なのかという疑問が出てきた。慌てて携帯電話を取り出して親に電話をかけると、自分の体が消えて僕は通話になった。その携帯電話は僕が中学の時に初めて買ってもらって1年しか使わなかったガラケーだったが、それしか携帯電話ではなかった。親は電話に出たし映像まで見えたが、こちらの呼びかけは全く聞こえないようだった。消えた自分を取り戻そうと懸命に呼びかけたが、意識に枷がかかったように重く何もできずに沈んでいった。その時の僕は意識だったので、そのまますべてが沈み込んでいった。父親が怪訝そうに画面を見ながら「聞こえないなあ……」と言い、やがて去っていくのを悲しく眺めていた。

起きた。相変わらず意識に枷がかかったようだったが肉体はあるようだった。東京の家が分かったし自分が大学生だということもわかった。手元にはガラケーではなくスマートフォンがあって、今の自分が何者かというのを少し教えてくれていた。それでも反射的に親に電話をかけていた。親の自宅も携帯も試したが応答はなかったので、やっと今は平日の昼間であり電話に出るはずがないということに気づいた。電話は諦めたが、自分を連れ去ろうとした夢の記憶を洗い流したいという衝動は消えず、しばらく躍起になってアプリで漫画を読んでいた。そこからしばらくしたらやっぱり記録しとこうみたいな機運が高まってきて今に至った。

時計を見ると、アラームを止めてから1時間しか経っていなかった。時間に対して情緒的な経験量が圧倒的に多いので驚いた。これなら起きているより寝ている方が効率がいいのではないだろうか。

*1:駒場の11号館に似てた、違ったけど